大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和35(オ)279 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人弁護士古賀久仁衛、同松尾菊太郎の上告理由第一点について。

所論は、入会権なるものの自然発生的、史的発展的条件をるる説明しつつ、本件

入会権も同じ条件の下に発生発達したものであるにかかわらず、原審はその史的発

展の経過に何ら思を致さず、漫然と本件入会権の存在を否定したのは問題の焦点を

見失つたものであると論難する。しかし、原判決の言わんとするところは、判示も

ろもろの事情より考察すれば、現実の問題として所論入会権の存在は証拠が乏しく

否定せざるをえない、慣習としても入会の事実は認められないというのであつて、

右消極的認定は原判決挙示の証拠に照合し首肯できなくはない。所論は、ひつきよ

うするに原審が適法に証拠を取捨選択してなした自由な事実認定を非難するもので

しかなく、採るを得ない。

同第二点第三点について。

所論は、原判決が仮定的に論及した点についてかれこれ非難論議するに過ぎない

ものであつて、判決に影響ある重要な法令違反を主張するものとは認められないか

ら、これ亦採るを得ない。

上告代理人弁護士古賀久仁衛の上告理由第一点について。

しかし、前段説示のとおり原判決は所論入会の事実は慣習としても認められない

旨判示しているのであるから、(一)の所論はその前提を欠くものと言うべく、そ

して原判文を熟読すれば(二)(三)の点についても原判決は言及していること明

らかであり、ひつきようするに(二)(三)の所論は原判決が適法になした事実認

定の非難に帰するものと認められるから、所論はいずれも採るを得ない。

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同第二点について。

原判決が本件原野は土地台帳上すべてD寺所有となつており、また不動産登記簿

上もD寺部落又は部落所属員数名の共有名義に登載され、D寺部落又はその所属員

において公租公課を負担して現在に至つていることを認定していることは所論のと

おりである。しかし、原判決は、右のような事実があることのみに基いて所論入会

権の存在しないことを認定しているものではなく、その他原判示のような事実関係

の下では結局所論入会権の存在は確認し難いというのであつて、ひつきようするに

所論は前段と同じように原審の適法になした事実認定への非難に帰する。故に所論

も採用できない。

同第三点について。

所論も判示大正八年福岡県令五五号公有林野整理奨励規程に関連して原判決のな

した事実認定を非難するに外ならないものであつて、これまた採るを得ない。

同第四点ないし第六点について。

所論の点に関する原判決の各判示は、本件証拠関係に照し首肯できないわけのも

のではなく、その間に所論の欠点を見出し得ない。所論はひつきよう原審の専権に

属する証拠の自由な判断評価並びにこれに基いてなされた自由な事実認定を非議論

難する以外のものではなく、すべて採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で主

文のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 高 木 常 七

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